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途端に悪臭が私の鼻を襲いました。しかし、近隣の住民の方々のために、また、故人の想いを考えると、とてもドアを開けっ放しには出来ません。ドアを閉めると、ピタっピタっと一定のリズムで、しずくの落ちる音がどこからか聞こえます。どうやら、その音は、玄関から突き当りのお風呂場から聞こえているようです。私はお部屋を見る前に、まず、蛇口を閉めようと思い、お風呂場へ向かい、お風呂場のドアを開けました。すると、非常に冷たい空気が私に向かってきました。私は直感で、このあたりでお亡くなりになられたのかなと感じ、お手を合わせました。これまでの遺品整理や特殊清掃の作業時にも、何度か、同じような体験をしたことがありました。私の思い込みかもしれませんが、故人が亡くなられた場所には、何故か、そのような冷んやりとした空気を感じることがあります。その際には、故人が私に、ご挨拶をしてくださっていると思い、心の中で、ご冥福をお祈りするとともに、きっちりと作業しますからご安心くださいと、お声をかけさせていただいています。この日も、故人に、お声をかけさせていただいた後、移動し、お部屋を見渡しました。私は思わず、「これは・・・。」と息を呑みました。お部屋全体に様々な物が溢れかえっている状態でした。お仕事関係や、ご本人の、趣味のものが多く見られました。床は足の踏み場がなく、高さはもう少しで天井まで届きそうなほどでした。踏み場を作りながら、お見積りを始めていると、私はふと、あることに気づきました。確かに足の踏み場がないほどの物が溢れている状況ですが、生活ゴミがないのです。一般的な、燃えるゴミや、燃えないゴミなどが入れられたゴミ袋等は、それまでその場所で生活をされてこられたわけですから、当然、お部屋のどこかにあっても不思議ではありません。ところが、それらがまったく見当たらないのは、これまでの経験で初めてのことでした。